Question  病院で羊水検査をした方がよいと言われました。1日は安静が必要だし、費用も実費、100人に1人くらいは流産するとも聞きました。私だけ特別に受けなくてはいけないのでしょうか?  Cat

Answer  近年の医学はずいぶん発達しましたが、遺伝性、先天性疾患の発生を減少させることは困難な状況です。「高齢妊娠」「前の子に染色体異常」「ウイルス感染」「服用した薬」「レントゲン被爆」など妊婦さんが不安を感じることは多々あります。現在、出生時に見つかる先天異常児は約1.1%、5歳までに見つかる先天異常児は約5%になります。この中でも染色体異常は頻度が高く、日本でも年間7000人の染色体異常児が出生すると言われています。

ヒトの身体はたくさんの細胞(約60兆個)の細胞から構成されています。その一つ一つの細胞のなかにある核の中に46本(23対)の染色体と呼ばれる遺伝情報が集まっている部分があります。染色体には1番から22番まで番号のついた常染色体と、XあるいはYとよばれる性染色体があります。男性は22+XY、女性は22+XXの染色体を持っています。精子や卵子は染色体が半数となり、精子は11+X、または11+Yの2種類があり、卵子は11+Xとなります。妊娠は精子と卵子が受精して、前述の染色体も足し算され22+XY(男性)または22+XX(女性)となります。その染色体の異常には数の異常と、形の異常があり、21番の染色体が3本となったダウン症候群など、さまざまな染色体異常疾患があります。その染色体異常児は、高齢妊娠、夫婦いずれかが染色体異常の保因者である場合、染色体異常児を出産したことのある夫婦などで有意に増加します。そこで妊娠中に胎児の染色体異常を早期に発見する目的で羊水検査が行われることがあります。

胎児の染色体を知るためには胎児由来の細胞を採取することが必要です。その1つに妊婦さんの子宮内にある羊水を採取する方法があります。羊水中に浮遊する細胞は胎児の皮膚、消化管、気道、腎尿路系からの剥脱細胞、あるいは羊膜、臍帯などからのものが含まれます。この細胞を培養し、増殖させて染色体を分析することができます。

検査に先立って十分な遺伝相談を行い、検査の必要性、起こりうる合併症、検査の限界について理解してもらうことが必要です。しかし、妊婦さんやそのご主人もも「十人十色」のたとえのように様々な考え方を持っておられます。先天異常に対する考えや出産の捉えかたは高度に個人的、家庭的なことです。医師はそれぞれ御夫婦の判断の参考になる意見を提供しても、決して結論を誘導するような話をするべきではないと考えます。

この検査の性格から異常児の排除という面から考えがちですが、ほとんどの症例で染色体には異常なしと診断されるわけで、少なくとも染色体異常については妊婦の心理的な不安を取り除くことができるという面もあります。さらに異常児の出生を恐れるあまりに妊娠・出産を断念する人たちを支援して積極的に考えて頂いたり、あるいは児が異常とされた場合には早期から適切な管理や治療を行うことに主力がおかれていることを理解して頂きたいと思います。


羊水検査について

1費用:一般的には8万円前後(自費、詳しくはそれぞれ医療機関におたずね下さい)

2実施時期:妊娠15-17週 → 結果が出るのは約4週間後となる

3副作用:流産率1/200(0.5%)

4適応:90%は高年妊娠、その他は染色体異常児の分娩既往、胎児染色体異常を疑う所見の指摘、夫婦に染色体異常保因者が存在、奇形児の分娩既往、家系に染色体異常者が存在、反復流産・死産の既往、妊娠初期母体血中α-fetoprotein低値、脳性麻痺児の分娩既往、新生児死亡の既往、家系に奇形・障害者が存在など

5羊水検査前に必ず「遺伝相談」約30分

6検査の仕方:

 (1) ベット上で超音波検査にて「胎盤の位置、胎児の位置、胎児の発育、以上の有無」を確認し、穿刺位置を決定。一般的には子宮底と恥骨上縁のほぼ中点。

 (2) 超音波ゼリーを拭き取り、消毒し、布をかける。

 (3) 穿刺針で穿刺し、羊水を採取する。

 (4) ガーゼで圧迫。しばらくして、胎児心拍に異常の無いことを確認する。

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