Question  初めての妊娠です。今3ヶ月ですが、卵巣のう腫があると言われ、手術をすることもあるし、自然に治ることもあると言われましたが、どうなんでしょうか?  Cat

Answer  近年の経膣超音波断層法の進歩により、卵巣は簡単かつ正確に観察することが可能になりました。多くの女性は妊娠をされて、初めて産婦人科を受診されることが多いので、それまで産婦人科を受診されることがなかった場合は以前より卵巣の腫大があったとしても自覚がないのが普通なので、妊娠の診断と同時に卵巣腫大を指摘されることになります。そこで、妊娠3ヶ月の時点で卵巣腫大が診断された場合には、妊娠以前から卵巣腫瘍があったものか、妊娠以前では卵巣は正常であったが妊娠して卵巣が腫大したものかを判定することは不可能となります。

妊娠初期の方に卵巣の腫大が発見されることは、約1%の頻度であります。妊娠初期に卵巣の腫大が発見された場合以下の二つのケースが考えられます。

(1) 機能性の黄体嚢胞:これは妊娠によって生じたもので大きさは一般的には7cm以下で、妊娠週数が進むにつれて消退してゆき、妊娠4ヶ月では完全に消失するものです。

(2) 妊娠とは関係ない卵巣腫瘍:これは卵巣腫瘍をもっている方が妊娠されたケースであり、たまたま両者が合併しているだけのものです。この場合通常は妊娠週数が進んでも卵巣腫瘍の大きさは不変、ないし増大することになります。その卵巣腫瘍も良性群、中間群、悪性群とさまざまなものが含まれることになります。

上記の(1)、(2)は妊娠経過中の経過が全く異なるわけで、(1)であれば経過観察でよく、手術はもちろん不要となります。ところが(2)であれば、自然に縮小し正常に復帰することは考えられないわけです。おたずねの方のケースが(1)、および(2)のどちらかを診断するには手術によって摘出し、その摘出物の病理組織検査をすれば診断可能ですが、(1)のケースでは自然に縮小し、手術は不要な訳ですから、摘出物の病理組織検査をすることはできません。

したがって、妊娠初期の方に卵巣の腫大が認められた場合には、内診、超音波検査などで明らかに機能性の黄体嚢胞とは異なる卵巣腫瘍(特に中間群、悪性群が疑われる卵巣腫瘍であればなおさらですが)であると考えられれば、妊娠週数とは無関係に手術を予定することになります。

それ以外に超音波検査で悪性所見がなく妊娠による黄体嚢胞か良性卵巣腫瘍が考えられる場合では、妊娠4ヶ月まで経過観察し縮小し正常に復帰すれば手術は不要であるし、妊娠4ヶ月になっても不変あるいは増大するようなケースでは大きさが7cm以上のものは手術が必要と考えられます。7cm以下のものでは手術をせずに経過をみることもあります。ただ、手術を行うケースでは妊娠が進み子宮が増大すれば、増大した子宮に手術野が妨げられて手術操作自体が困難になることもあり、手術施行の決定は妊娠4ヶ月になった時点でされるべきでしょう。おたずねの方は妊娠3ヶ月なので、経過観察中であると思われますので、もうすこしして4ヶ月になった時点で方針が決定されるものと考えます。

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