はじめての妊娠でしたが妊娠2ヶ月で流産と言われ、処置を受けました。つぎの妊娠を希望しているのですが、何に気をつければよいでしょうか?
流産とは妊娠6ヶ月半ば(22週未満)までの分娩をいいます。ただし、自然流産の大部分が妊娠3ヶ月(11週)までにおこります。
妊娠初期の状態は以前はなかなか正確な観察が不可能でしたが、現在では経膣超音波断層法が発達していますので、妊娠2ヶ月の半ば(6週、28日型の人では生理が2週間遅れた時)では、ほぼ確実に胎芽の心拍動が観察されます。この時出血が全くなくても胎芽部分が見えない、あるいは3ヶ月になってそれまで胎芽部分が見えて心拍動も観察されていたのに発育が停止し心拍動がなくなるといったことがおこることがあります。医学的には稽留流産(胎芽あるいは胎児が子宮内で死亡後、症状がなく子宮内に停滞している状態)といいます。このように途中まで妊娠が進み、ある時から胎芽の発育が停止し、死亡することは全妊娠に対して10~15% の割合でおこります。
その原因の大きな部分に胎芽の染色体異常があります。妊娠週数の早いうちの稽留流産ほど大きな染色体異常があると言われています。また、稽留流産以外では胎芽、胎児は正常なのですが、母体の子宮収縮がおこり、胎芽、胎児を押し出すケースもあります。こちらの方は頻度が少ないと思われます。
流産の診断がついた場合は、子宮内容を除去する流産手術を行う必要があります。
流産率については最初の流産率は10~15%、1回流産すると次回は15~20% となり、2回連続して流産した人の次回妊娠での流産率は30~40% 、3回連続した人は40~60%と報告されています。
元気な赤ちゃんを産みたいというのは女性にとっての最大の望みであり、それだけに流産した方は希望から失望への落差が著しく、悲しみが大きくなります。しかし、流産は染色体異常をはじめとする異常児の出産を防止するために必要な淘汰現象であり、実際には非常に多くの人が染色体異常児妊娠を経験しているわけですが、大部分は早期流産であるために気づいていないだけなのです。
流産後の次回の妊娠については、通常流産後は初回月経まで避妊しておき、初回月経終了後より次回の妊娠をすすめるケースが多いようです。流産された方は流産の反復を心配されますが、正常な受精卵であればほとんどの場合正常に発育します。また胎内環境を良好に保つためには精神的なリラックスが必要不可欠でしょう。