Question  現在、第2子を妊娠中、5ヶ月です。先日検診で、胎盤の位置が月数の割に低いところにある。と言われました。重いものを持ったりしないように注意を受けましたが、どの程度安静にしていればよいのか分かりません。そのうち胎盤の位置は上がってくると言われましたが、本当に上がってくるものなのでしょうか?  Cat

Answer  胎盤は子宮に付着して母体と胎児の間の栄養物の輸送や胎児の老廃物の排泄をしている重要な臓器です。この胎盤は娩出後で直径20cm、厚さ2cm、重さが約500gの円盤状の形をしています。胎盤の内部は血管の集まりのような構造をしていて、子宮内にあるときは多量の母体血や胎児血で満たされています。正常分娩では胎児娩出後に子宮収縮によって胎盤と子宮との間にズレが生じて子宮よりはがれて娩出されます。

この胎盤の付着部位については妊娠が成立するときに受精卵が子宮内に着床するわけですが、その着床の部位に胎盤が形成されることになります。そこで受精卵が内子宮口近くに着床した場合は、胎盤が形成されたときに内子宮口に胎盤が覆い被さるようになることがあります。これが前置胎盤と呼ばれる異常です。前置胎盤のケースで分娩が開始した場合は子宮口の開大につれて子宮と胎盤との間がはがれてゆくので、そのはがれた部分から大量の出血がおこります。この場合の大量とは「水道の蛇口をひねって水が出る勢い」程度の大出血です。母体には妊娠末期で約6.5Lの血液がありますが、この勢いで大出血を起こせばあっという間に出血性ショックを引き起こし、母体は生命の危険にさらされます。前置胎盤と診断された方の分娩方法は帝王切開となります。以上のことから、妊娠経過中に前置胎盤を診断することは産科における妊婦検診を行う上できわめて重大なことと言えます。

近年は超音波断層法の進歩で子宮内における胎盤の位置は極めて正確に診断できるようになりました。しかし妊娠4ヶ月の末に胎盤は完成しますが、そのころは子宮内腔が小さいことや実際の胎盤付着部位と胎盤の厚み(娩出前の子宮内の胎盤は血液を多量に含んでいるために娩出後よりかなり厚みがあります。)によって単に子宮に接している部分との区別が困難であり、実際問題として前置胎盤と診断することは困難なケースが多いものです。また、子宮が増大してゆくのは子宮下部が伸びてくるために、前置胎盤のように見えていても妊娠が進み子宮下部が進展することにより、相対的に胎盤付着部位が上がったように見えて前置胎盤が否定されることも多いものです。おたずねのように子宮に付着している胎盤が滑り上がるようなことはもちろんありません。

前置胎盤の頻度は全妊娠に対して0.5%程度なのですが、妊娠7~8ヶ月頃になって正確な診断が可能となります。妊娠4~7ヶ月頃は前置胎盤が疑われるが、本当に前置胎盤かどうかはもう少し妊娠が進んでみないと診断できないことの方が多いものです。もっとも中には早い時期から出血があり、明らかな前置胎盤と診断されるケースもあります。

おたずねのように妊娠5ヶ月で前置胎盤の可能性を指摘された方は、出血に気を付けておき、わずかな出血でもあれば診察を受ける必要があります。また、安静の程度は一般的なお話はなかなか難しく、ケースによって異なるため診察をうけた主治医におたずねになるべきでしょう。

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