Question  私は妊娠10週目なのですが、つわりは軽く、食事もある程度とることが出来たため、鉄分補給にと7週目ごろから週に2日ほど鶏の肝煮を食べていました。8週目には、4日連続で50から100g食べました。ある時、初期のレバーの摂りすぎは奇形などの影響があると知り、大変不安になっています。妊婦の参考書には、初期のレバー(ビタミンA)について書いてあるものがなく、逆に積極的にとっても良い様にも感じられますが、、、。  Cat

Answer  ビタミンAの摂取と妊娠に関するお問い合わせと思います。

妊娠中のビタミンA摂取の問題については様々な報告があります。日本人の成人女性の栄養所要量でビタミンAは1日に1800IUとされています。妊娠3ヶ月以内は1日摂取量が3000~8000IU未満(報告によって数字が異なる)が望ましいとされています。摂取量が多くなってビタミンA過剰症(1日25000IU以上)となると胎児の耳、脳、頭蓋、顔面、眼球、尿路、四肢、消化管の異常などが発生する可能性があります。しかし、その摂取量と異常発生のデータからどの程度から問題とすべきかは報告によって異なっています。また逆にビタミンA摂取量が異常に少なくなってビタミンA欠乏症になっても胎児の眼球の異常が発生すると報告されています。

ビタミンA過剰摂取や欠乏症における先天奇形については動物実験からはある程度のデータが出ていますが、ヒトでのデータはきわめて少数の症例しかないので数量化するのはきわめて困難なようです。すなわち大量のビタミンAや極端なビタミンA欠乏がが胎児に有害であることは明らかなのですが、胎児奇形に関連するビタミンAの量が何単位なのかは現時点でも特定されているわけではありません。また、報告のデータはビタミンAの薬剤投与の報告しかなく、食事で摂取した場合のデータは見当たりません。

ある成書には「ビタミンAの摂取は必要であるが、過量にならないように注意する。たとえば鶏レバー100gには47000IUのビタミンAが含まれるので毎日食べるのではなく適当に日をおいて食べるように指導する」となっています。もちろん通常の食事がとれている妊婦さんであればビタミンAを薬剤で補充する必要は全くありません。

残念ながら、おたずねの場合ビタミンAの摂取量は多いとは思いますが、それによる胎児奇形発生の危険性がどの程度あるか数字でお答えすることは出来ません。一般的にお答えすればおたずねの場合には異常が発生しないことのほうがはるかに多いのは事実ですが、奇形発生率はビタミンA正常摂取の方に比べるとやや高くなる可能性はあります。 しかし、人工妊娠中絶を考慮するほどの問題ではないと思います。