Question  高年妊娠にはどんな問題があるか教えてください。  Cat

Answer  近年は仕事を持つ女性が増え、結婚年齢も徐々に高くなっています。それに伴って、高年妊娠・出産が増加。また、計画妊娠・出産が浸透し、出生率は年々低下の傾向にあり、1回の妊娠に対する期待感、注目度が大きくなっています。

母の年齢区分別にみると20代の出生率が大きく減少し、30代・40代が上昇。その結果、30歳以上の出産が全体の3分の1以上を占め、35歳以上の高年妊娠の割合が8%を超えています。 高年妊娠とは、日本では1971年以来、高年初産の定義を30歳以上の初産婦としていましたが、1990年に日本産婦人科学会教育・用語委員会で「35歳以上の初産婦を高年初産婦とする」との意見で統一されました。しかし、経産婦についての高年の規定はいまだ統一されていません。

この高年出産の増加の主な原因として考えられることは、まず結婚が遅くなっていること。次に結婚はしたものの個人的な人生観や家庭の事情、職業の継続、職場の事情で妊娠・分娩(べん)を意識的に遅らせる場合。さらに妊娠を希望しながらも不妊症、内科的疾患などで妊娠・出産が遅れるケースなどがあります。

高年妊娠そのものが母子にとって危険であるという一般的な風潮は、妊娠を希望する人に対して、その後の育児や仕事を続けるうえで過剰な不安を与えることに。妊娠中や分娩時のさまざまな問題、妊娠合併症など、高年出産による問題も多々あるのは事実です。しかし、最近では周産期管理の質的、量的な向上で、母体の高年齢そのものが妊娠・分娩・胎児・新生児に与える影響を早期に予知し、危険性を減少させうることが実現しつつあります。日本はかつて経験したことのない新しい人口問題を抱え、高年妊娠と分娩に対するさまざまな不安を少しでも取り除く努力が必要とされているといえます。