Question  生理が遅れがちなので、妊娠したかどうかの判断が難しいのではと思います。生理がなくなる以外に何か徴候があるのですか。また妊娠検査薬などで、100%確認できるのでしょうか。  Cat

Answer  妊娠を診断するにあたっては、以下のことをはっきりとさせなくてはいけません。

 (1) 妊娠か否かの診断。

 (2) 子宮外妊娠ではないことの診断。

 (3) 妊娠検査薬で判定が陽性であっても、胞状奇胎、侵入奇胎、絨毛がん、存続絨毛症などの絨毛性疾患でないことの診断。

 (4) 妊娠のいかなる時期にあるか。したがって分娩予定日はいつか。(最終月経、基礎体温、胎児の頭臀長などから計算される)

 (5) 胎児の生死。

 (6) 胎児の位置、大きさ、数、胎盤の付着部位(多胎、正常発育、胎位異常、胎盤付着異常の診断)

 (7) 胎児の異常の有無。(胎児奇形の診断)

 (8) 分娩に際しての産道の状態の診断。

 (9) 妊娠の継続、分娩に際して影響を与えるような合併症の有無。

以上9項目の妊娠および関連事項の正確な診断自体は産婦人科を受診されることが必要ですが、とりあえず妊娠しているらしいとご自分で自覚されることが前段階としてあります。

妊娠の自覚徴候としては

 (1) 生理が遅れている。

 (2) つわりの症状(悪心、嘔吐、嗜好の変化、食欲不振)がある。

 (3) 基礎体温を計っていれば高温相が20日以上続いている。

の3つがあげられます。とくに(3)の基礎体温は妊娠の診断にはきわめて有用です。薬局で売られている妊娠検査薬は尿中のhCGというホルモンを正確に判定するもので、妊娠かどうかの診断には有用ですが、前にも述べたように妊娠の診断には様々な異常がありえます。単に妊娠検査薬での妊娠反応が(+)というだけではそれらを診ていないということになり、さらに妊娠ということを自覚されたために産婦人科受診が早くなれば良いのですが、妊娠検査薬でとりあえず妊娠がわかったので産婦人科受診を後回しにされた場合は、異常妊娠であった場合には手後れとなり重大な結果となることもあります。また、生理が遅れるたびに妊娠検査薬で検査するのも大変なことです。理想的には基礎体温の測定が最も簡単でしかも情報量も多く、お勧めできます。基礎体温の高温相が20日以上持続すれば妊娠の可能性が高く産婦人科を受診されるべきでしょう。生理が遅れている場合でも、低温相が延長しているケースでは妊娠ではありません。妊娠されている場合は前述の様々なものを診断し、順調な正常妊娠であることを確認することが重要となります。

さらに分娩後、月経が再開していない状態での妊娠は生理が遅れているという自覚がないために産婦人科受診が遅くなりがちです。

また、40才代の方では生理が不順になっている方が多く、妊娠も自覚されにくく、さらに高率に異常妊娠となることが多いためとくに注意が必要となります。