ハワイに行く予定だったのですが、先日妊娠2カ月と分かりました。やはり取りやめた方がいいのでしょうか。また、どのくらいの旅行なら出掛けても大丈夫ですか。
一般的に正常妊娠の妊婦さんは通常の社会生活を送ることが可能です。すなわち、通勤を伴う仕事や家事などを含め、妊娠前と同じ活動をしているわけです。分娩前の産休についてもご本人が希望されればもちろん仕事を休むことはできますが、もし仕事を続けたいと希望されれば産休を取らないことも可能です。すなわち様々な異常妊娠と診断されて安静、加療、通院、入院が必要とされれば通常の社会生活は不可能となります。旅行もその通常の社会生活の範囲内と考えられます。したがって、異常妊娠ではなく、正常妊娠を継続しておられる方であれば、肉体的に無理がない範囲であれば一般的なバス、電車、飛行機などによる旅行そのものが妊娠に対し悪影響を及ぼすことはないと考えられます。
ただ、旅行は通院しておられる医療機関から遠くへ離れることになるので、問題は出血、破水、陣痛発来などの場合、慣れない土地でこれに対応しなければならないことになります。このため、必ず母子手帳、保険証を持参され、さらに同伴者と一緒に行かれるのがよいでしょう。妊婦さんは非妊時に比べ、体重は増加しており、呼吸器、循環器系に負担がかかっており、後半期では身体の重心も移動しており、移動は非妊時に比べて疲れやすいものです。したがって無理なスケジュールは立てないことも必要でしょう。乗り物、宿は必ず予約すべきでしょう。航空機については、分娩間近に搭乗する場合、医師の診断書などが必要になるのであらかじめ航空会社に問い合わせるようにされた方がよいでしょう。
前述のお話は日本国内の旅行についてですが、外国旅行となりますと航空機に搭乗されている時間も長時間となり、母子手帳や保険証も異なり、現地での医療機関への受診がスムースにいかないことも多く、一般的にいえば断念されたほうが良いと思います。しかしハワイの場合、搭乗時間も極端な長時間とはならないので、異常がおきた場合医療機関への受診がどの程度可能か、事前に充分検討されてご夫婦で相談されて結論を出されるのがよいでしょう。
参考のために一般的な航空会社の妊婦の航空機への搭乗に必要なものをあげてみます。 (正確には航空会社によって異なります)
妊婦が航空機に搭乗することそのものは問題はありませんが、偶発的に起こる問題のために以下のような搭乗制限があります。妊婦さんが航空機で旅行しようとする場合は、航空会社にあらかじめ問い合わせて、必要なものをそろえて下さい。
分娩予定日29日前まで:制限はない。
分娩予定日8~28日前:医師の診断書と本人の誓約書が必要。
分娩予定日7日以内:医師の診断書、本人の誓約書のほかに医師の同伴が必要。