Question  体重が8kg落ち、やせると同時に生理が来なくなりました。どうしたのでしょうか?  Cat

Answer  おたずねのような方を「体重減少性無月経」といいます。これは以前の体重の10%以上の減少、あるいは5kg以上の減少があり、生理がなくなる無月経の状態となったものをいいます。

原因は急激な体重減少により引き起こされたもので、頭の中にある「視床下部」という生理や排卵に関係しているホルモン分泌をしている場所の障害と考えられています。体重の回復とともに生理や排卵といった機能が回復することも予想されますが、現実には体重が回復しても無月経が持続するケースが少なくありません。 この無月経の状態が長期に続くと、女性ホルモンの分泌の低下が長期にわたるため、皮膚や皮下の弾力、子宮、卵巣、骨量、膣粘膜、乳房、脂質代謝などに大きな悪影響が考えられます。年齢的に若い方が多く、将来の妊孕性の確保を主眼とした、長期にわたる管理が必要となります。

検査としては、各種血液検査、超音波検査が主体となり、治療はホルモン治療により生理を来させることが必要になります。妊娠を希望されている方では生理を来させるだけではなく、卵巣から毎月排卵がおきるように排卵誘発も必要となります。今は妊娠を希望していない方でも女性ホルモンの分泌を正常化させることは将来の妊娠、出産、あるいは前に述べたさまざまな女性ホルモン分泌の低下による悪影響を改善することになります。

この体重減少性無月経は治療している間はちゃんと生理もあるのですが、治療をやめた場合には自然にもとの生理周期に戻ることは少ないと言われています。半数以上の方は長期間無月経状態が続くことになります。肥満の方が意識的にダイエットをされるときは、ご本人の意向としてはなるべく短期間に、なるべく体重減少幅を大きくと望まれることが多いようですが、現実的には無月経を引き起こし、長期にわたる管理を必要とする体重減少性無月経を引き起こしてしまいます。したがって出来るだけ長期間をかけて、少しずつ徐々に体重を落として行かれるのが理想的といえます。もし、不幸にして無月経になったら、早期に産婦人科医に相談されるのが改善の早道と思われます。