Question  トリコモナス膣炎とはどんな病気ですか?  Cat

Answer  トリコモナス膣炎とはトリコモナス原虫という病原体が膣の中に入り、炎症を起した状態です。

トリコモナス原虫とは血液中の白血球と同じか、やや大きい程度で梨状または紡錘状で鞭毛と波動膜とよばれる膜を動かして活発に運動するものです。

トリコモナス膣炎はおりものを訴えて来られる方の原因の上位を占めており、産婦人科の中でも多い疾患です。黄色のおりものが増えて、膣や外陰部にかゆみを伴い、焼けるような灼熱感を感じることもあり、また炎症が尿道まで広がると排尿痛も伴うことになり、膣や尿道の粘膜が赤くなります。膣内の分泌物をとり、顕微鏡で見て、トリコモナス原虫の有無によって診断されます。

このトリコモナス原虫は膣内だけでなく、子宮頚管内、バルトリン腺内、尿道および膀胱内にも感染していることがありトリコモナス膣炎と言うよりトリコモナス症の一部としてトリコモナス膣炎と考えるべきものです。このトリコモナス原虫による膣の炎症が起きるとそれ以外の細菌による混合感染を起していることが多く、膣内の清浄度は悪化していることが多いものです。さらに配偶者の性器にも存在するために再発を繰り返しやすいのが特徴です。したがってご夫婦同時に治療する必要があります。

治療はトリコモナス原虫に対する膣錠の挿入と内服薬の併用が行われます。約10日間膣内に膣錠を1個ずつ挿入し、内服薬を服用します。この薬にはアルコールを摂取すると血中のアルデヒドの濃度が上昇することがあるため、飲酒を制限することがあります。治療開始から2週間後にもう一度膣内の分泌物を顕微鏡で見て、トリコモナス原虫がいないことを確認して、治療終了となります。

治療後は膣内分泌物にトリコモナス原虫が発見できない状態になることは期待でき一旦は治癒状態になるのですが、再発や再感染を繰り返すことが多くそういった意味では難治性ともいえます。