最近黄色いおりものが多く時に茶褐色のときもあり、またにおいがきついような気がします。どうしたらいいでしょうか。
産婦人科を受診される方の中でおりものの異常を訴えて来られる方は多いものです。
正常の女性の膣内の分泌物は膣内にある時は通常乳白色で、下着に付着して時間が経つとやや黄色みを帯びた状態となります。正常な膣粘膜上皮には大量のグリコーゲンが含まれていて、これが剥脱すると融解しグリコーゲンは単糖類となります。膣内にいる乳酸桿菌と呼ばれる細菌が単糖類を乳酸に変化させて、膣内容を高い酸度に保ち、外からの病原体の進入に対して防御するといった自浄作用を営んでいます。
また、女性は月経周期の中間に排卵があります。その排卵前から排卵にかけて子宮から頚管粘液と呼ばれる透明で糸を引くような粘液が大量に分泌されます。これは採取して乾燥させると電解質の関係でシダ状の結晶を形成します。この頚管粘液は精子が子宮内に進入してゆくのに必要不可欠なものです。ひとによってはこの頚管粘液の分泌を自覚することによって排卵の時期をある程度予想することも出来ます。
さらに外陰部にはバルトリン腺と呼ばれる分泌腺があってそこからもやや透明な粘液の分泌があります。
以上のように女性は膣粘膜、子宮、外陰部などからの分泌物があり、それらを合わせたものをおりものとして自覚しておられるわけです。
おりものの異常をきたす疾患には様々なものがあるので、簡単に以下に列挙します。カンディダ膣炎、トリコモナス膣炎、非特異性膣炎、老人性膣炎、子宮頚管炎、子宮内膜炎、バルトリン腺炎、外陰炎、淋菌感染症、クラミジア感染症、子宮頚がん、子宮体がん、外陰がんなど様々な病変によりおりものの異常が発生します。
産婦人科ではおりものの異常を訴えてこられた場合は、おりものを採取して顕微鏡検査、抗原検査、細胞診検査、組織検査、コルポスコープ検査、超音波検査、血液検査などでどのような疾患がその背景にあるか診断しています。
また、おりものの異常を訴えて来られた方の中でも全く異常が認められない方もおられます。これはおりものが全くないのが正常であると誤解しておられることによります。前述のようにある程度おりものがあってもそれが正常のおりものであれば異常とは言えません。 また、おりものが茶褐色ともおっしゃっていますが、茶褐色であれば赤血球が混入しているわけですので、おりものとは別に不正出血もあると考えるべきでしょう。