今年の1月に妊娠2ヶ月目で流産(正しくは多量出血のためDrに“断念してください”と言われ、処置を受けました)しています。妊娠前の基礎体温はよくある安定した曲線を描いていましたが、あの魔の処置後現在に至るまで低体温になったように思います。朝は夫のお弁当作りのためAM6:00に起きるため、その際に婦人体温計で検温していますが、36.1~3℃、生理前の高温域でも36.4~5℃でしかも曲線がばらついており、ガタガタの曲線になっています。私のカラダはどうなちゃったんでしょうか。今でも産科の診察台は恐ろしいのですが、でも子供は絶対ほしいため、なんとか克服して次に望みを託そうと前向きに考えているところです。何か原因として考えられることを教えていただけませんか?某産科病院へ電話で問い合わせたところ、“心配なら診察にきて下さい”としか言われません。ですが、診察台に上がらなくても良い方法として、又傷の癒えていない私にアドバイスをお願いいたします。
妊娠に流産はつきもので、全妊娠に対して約15%は流産になります。流産の原因の一番多いものは当院のホームページにUPしておりますように卵子と精子が受精する際に大きな染色体異常が発生して胎芽が途中までしか育たず、子宮内で死亡してしまうことによります。「魔の処置」とおっしゃっていますが、流産と診断された場合は流産手術が必要で、流産手術を行って子宮内容を完全に除去しないと出血が止まらず、放置すると大量輸血を必要とするほどのショック状態になることもあり得ます。したがっておたずねの方に行われた流産手術自体は決して「魔の処置」ではなくて「あなたを救う正しい処置」であることを十分にご理解ください。
次に流産後の妊娠ですが、初回月経終了後から次回の妊娠を許可するケースが多いようです。流産後の排卵を含めた内分泌環境は流産前と同じ状況になるのが通常ですが、おたずねの方の場合は流産が引き金となって精神的なストレスが加わり、不安定な状態になっている可能性があります。これは排卵のメカニズムは頭の中にある視床下部→下垂体→卵巣と命令のホルモン伝達が行われているのですが、その視床下部の上に大脳皮質(ここで前回の流産を恐怖と考えている)がありこれが視床下部-下垂体-卵巣系に何らかの影響を与えている可能性があります。
現在の産婦人科における各種のホルモン検査、超音波検査、排卵誘発法などはかなりの精度で妊娠に向けて手助けができるようになっています。子供さんを希望しておられるお気持ちは良くわかりますが、極端に診察を拒否されると検査や治療を円滑に進めて行くことができません。もちろん、基礎体温のデータとお手紙だけでは何もすることはできません。したがって、産婦人科の診察台を「恐ろしい」などと考えられずに、医学的に妊娠しやすい状況を作り出すためには必要なものだと割り切られることが必要でしょう。
また、流産された方は流産の反復を心配されますが、正常な受精卵であればほとんどの場合正常に発育します。さらに妊娠しやすい状況をつくりだすためにも、将来妊娠された場合の胎内環境を良好に保つためにも精神的なリラックスは必要不可欠でしょう。