Question  妊娠3ヶ月、10週目です。23才で初めての妊娠ですが、妊娠中の性生活はどの様にすれば良いのでしょうか? 妊娠が判明したのが8週目で、それ以降、性生活は行っておりません。何週目まではだめで、何週目以降は大丈夫、と言う様な目安はあるのでしょうか?  Cat

Answer  正常妊娠であれば妊娠によって「いままでの生活スタイル」が変わることはありません。たとえば仕事、家事、運動なども通常は制限されません。性生活もその「いままでの生活スタイル」の範疇に入ります。したがって、妊娠中の性生活については基本的には妊娠中のいかなる時期であっても制限をする必要はありません。正常妊娠の状態にある方であれば性生活を行うことによって、流産、早産、破水などが起こることはありません。

ただし、精液中にはプロスタグランディンという子宮収縮をおこす物質が含まれているため精液が腟内に入らないようにコンドームを使用することをお勧めいたします。

しかし、ご本人が苦痛に感じることがあれば無理にがんばる必要はもちろんありません。たとえば「ひどいつわり」や妊娠中毒症などの苦しい状況の中でも母体は胎児を育てることに全力投球しているわけで、とても性生活など受け入れられないといった状況の妊婦さんは、ご主人に対してはっきりと「No」と言われるべきでしょう。性生活自体はご夫婦のいちばんプライベートなことであり、お二人がそれぞれに了解しあって成り立っているものです。

ただし医学的に禁止されるケースもあります。正常妊娠ではなく異常妊娠の状態にある方がそれにあたります。たとえば切迫流産、切迫早産、前置胎盤などの胎盤付着異常、頚管無力症などで医師から安静にするようにいわれている方は残念ながら禁止となります。このようなかたは性生活以外の仕事、家事、運動なども当然制限されますし、ある程度以上の病的状態であれば入院加療となります。

また梅毒、淋病、クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、毛じらみなどの性行為感染症があると診断されている方についても同様で、ご主人とご本人のそれぞれお二人の治療が終了して、性行為感染症が完治していることが確認されるまでは禁止となります。この性行為感染症の治療中の方については妊娠中でなくてももちろん禁止なのですが、妊娠中は胎児に与える影響を考えて特に厳格に守る必要があります。

なお、産褥期の性生活については産後の1ヶ月検診で子宮や外陰部の回復をみて許可されます。また、妊娠3ヶ月以前の流産や人工妊娠中絶術後については1~2週間後に正常な回復がみられれば許可されます。