つい最近妊娠の兆候が出て、早速市販の検査薬で調べたところ陽性でした。待ち望んだ妊娠だったこともあり、翌日大急ぎで病院に行きましたが妊娠反応はでているものの、超音波による内診で子宮の中に胎嚢を確認することができなかったため、医師からは「妊娠のごくごく初期の段階だろう。子宮内部に正常に妊娠しているかはまだわからない。子宮外妊娠の可能性もある。」と説明を受け、初めての妊娠である私はとても不安になっています。
妊娠検査薬が市販されてからきわめて早期の妊娠の診断が容易に可能となってから、ごく初期の妊娠の方が受診されるケースが増加してきました。また、経膣超音波断層法が一般的になって初期の妊娠の状態の詳しい観察も可能になりました。
妊娠初期の診察所見の正常経過は、まず子宮内胎嚢(妊娠内容が入っている袋)が見えない時期があって、時間が経過した後に子宮内胎嚢が経膣超音波画像上に出現し、その子宮内胎嚢の中に胎芽が見え始め、妊娠2ヶ月の半ばになってから初期の胎芽の心拍動が観察されるようになります。
子宮外妊娠とは受精卵が子宮腔内以外の部位に着床、発育するもので、異常着床場所としては卵管、腹腔内、卵巣、子宮頚管内がありますが、多くの子宮外妊娠は卵管内の着床による卵管妊娠です。この場合妊娠2ヶ月半ばになっても子宮内胎嚢は見られず、尿による妊娠反応は陽性の状態が続きます。それと同時に卵管内で妊娠が進むと卵管流産を起こし、少量の外出血と腹腔内出血が起こります。この時点で下腹部痛が起こりますが極端ではありません。卵管流産の状態が進み子宮外妊娠中絶、卵管破裂となると大量の腹腔内出血が起こり、極端な腹痛が始まり急性腹症となります。腹腔内出血が大量になると貧血、低血圧、ショックとなりますが、急激に症状が悪化するのが特徴です。この状態になれば救急搬送、緊急手術が必要になります。
おたずねのような初期の子宮内胎嚢が超音波画像で見ることができない早い妊娠時期であれば、子宮内妊娠とも子宮外妊娠とも判別できないことになります。これは時期が早すぎるためであって、いたしかたありません。万が一子宮外妊娠であった場合でもそんな早い時期での子宮外妊娠中絶、腹腔内大量出血はまず起こりません。したがって子宮外妊娠として重要な注意が必要な時期はもっと後の妊娠2ヶ月半ば以降となります。そのころであれば担当医は子宮外妊娠を強く疑うこととなり、患者さんに対しては「要注意」の警告を発することになります。
しかし、すべての妊婦さんは上記の初期の段階ではどちらかわからないだけで、子宮外妊娠を強く疑われている状態とは全く異なります。おたずねの場合ももう少し時間がたって再度受診されればはっきりすると思います。