Question  女の子2人の子供がいる主婦ですが、ちょっとお聞きします。上の子(今年12歳)は、去年に初潮があり、一時は定期的に1か月に1度月経があったのですが、最近やたらと多くなり、先月は3度も月経がありました。1週間前に終わったばかりなのに、また始まってしまったり、というのがここ最近ずっとです。量も結構普通にあるようで、数が多いからといって、量が少ないというわけでもなさそうです。まだ、始まったばかりなので、周期が安定していないのかもしれませんが、このまま放っておいてよいものか、心配しています。  Cat

Answer  まず初潮のしくみからご説明しましょう。小児期の女性が思春期を迎えると頭の中で目の奥の方にある視床下部(間脳とも言います)が活動を始め、その視床下部の下にある下垂体に命令を送り始めます。この下垂体は視床下部から受取った命令を下腹部にある卵巣の中の原始卵胞に向けて卵胞を発育させるようなホルモンを血液中に出します。そのことによって卵巣内では原始卵胞が成熟卵胞になるような変化が起こるとともに、その卵巣からエストロジェンというホルモンが血液中に出て行きます。このエストロジェンは子宮の中の内膜を厚くさせる作用を持っています。厚くなった子宮内膜はやがてエストロジェン分泌の変化によってはがれおちますが、このとき子宮内で出血が起こり初潮となります。

この視床下部-下垂体-卵巣系は精密なメカニズムで動いているわけですが、おたずねのケースのように初潮直後はこれらの働きが充分ではないのが通常です。妊娠出産といった生殖に最も適している20代~30代の女性ではこれら視床下部-下垂体-卵巣系は機能も成熟し、月経周期や排卵も安定しているわけですが、初潮直後や閉経前の女性では機能不安定、月経周期不順、無排卵といったことが起こりやすくなっています。これはちょうど飛行機が離陸上昇、水平飛行、下降着陸といった感じとして理解されます。すなわち水平飛行を機能安定、周期順調とすれば、離陸直後、着陸直前は機能不安定、周期不順といったことになります。

おたずねのように不順で回数が多い、出血量も多いということになりますと、貧血症となるケースが多く、しかも極端な重症貧血となる場合もあります。また出血している期間が長引けば、スポーツや学業にも差し支えるといったことも起こります。基本的にはまず貧血検査が必要となりますが、それ以外に子宮、卵巣などの診察が必要です。特に思春期の方については内診台での診察は行わず、普通のベット上で経腹超音波断層法といって下腹部に超音波プローブをあてるだけで診察を終えるようにしています。

治療は通常はホルモン剤内服により月経を順調にし、月経が続く期間も短くすることが可能です。また、貧血症があれば鉄剤の投与も必要となります。