Question  2ヶ月前に妊娠3ヶ月で中絶手術を受けたのですが、それから生理が来ません。どうしてかわかりません。どんな原因が考えられるでしょうか。  Cat

Answer  人工妊娠中絶後の無月経(月経が無い状態)については以下にあげる5つの原因が考えられます。

(1)人工妊娠中絶後のまた新たな別の妊娠。

この場合は新たな妊娠なので無月経が起こって当然といえます。

(2)視床下部-下垂体-卵巣系のホルモン失調。

これは排卵や月経を起こす体内のホルモン系統の異常が起こり月経が無い状態で、基礎体温を測定されれば低温1相性が長く続いている筈です。しかし、数ヶ月前は妊娠されたという事実があるので、その時はちゃんと排卵もあったわけで視床下部-下垂体-卵巣系は正常に機能していたことになります。したがってこの場合はもう少し様子を見ればおそらく月経は再開するものと思われます。人工妊娠中絶術により排卵が遅れたり、一時的な無排卵の状態となって月経再開が遅れているものと考えられます。基礎体温を測定していて高温相になった場合は再度の妊娠をしておられない限り、高温12日目前後に月経が開始すると思います。

(3)妊娠状態の継続。

子宮には様々な先天的な形態異常があります。例えば重複子宮といって左右に子宮が2つあったり、子宮の入口は1個なのですが子宮の奥は2つにわかれているケースもあります。これらは時に診察によってわかりずらいこともあります。その場合片方の子宮内の手術のみが行なわれた場合は妊娠状態が継続していることもあります。しかし、現在は経膣超音波法で簡単に子宮内を観察することができますので、人工妊娠中絶後の診察で異常を指摘されなかったとすれば、そのような可能性はないと思います。

(4)月経はあるのだが手術操作による子宮内部癒着によって月経血が子宮外に出ない場合。

これはまれにおこり、アッシャーマン症候群と呼ばれます。子宮内の掻爬によって子宮腔内に癒着が起こり実際は月経はあるのに子宮から膣方向へ出て行かないものを言います。この場合は基礎体温を測定して高温相から低温相に移行する月経が起こっていると思われる時期に、膣よりの月経血の排出は起こらず、月経血が卵管を通って腹腔内に出て行くために腹痛が起こります。このアッシャーマン症候群の場合は子宮内を器具を使って拡張することによって治療することが可能です。月経と思われる時期に子宮内部を拡張するとチョコレートのような月経血が排出され、通常翌月より順調な月経が再開します。

(5)胞状奇胎などの絨毛性疾患。

この場合は尿による妊娠反応が持続的に陽性となり、基礎体温も様々なパターンとなります。詳しいことは省きますが、再度の子宮内膜掻爬術と術後の充分な管理を必要とします。

おたずねの方が以上の原因のうちどれに相当するかは、診察、検査結果により診断されますが、ほとんどのケースでは(1)の再度の妊娠や(2)の視床下部-下垂体-卵巣系の異常によるものだと思われます。しかし、まれには(3)~(5)のようなものも含まれる可能性があります。手術を受けた医療機関での診察を受けられるのがベストでしょう。