私は現在妊娠3ヶ月です。実は2年前から急に気管支喘息になりました。もともとアトピーに始まりアレルギー性鼻炎などがありました。妊娠がわかってからも、発作がひどい時などには気管支拡張剤をやむなく使っていますし、風邪がいっしょになってもっとひどい時にはステロイドの入った水薬を飲んだこともあります。なんの本を読んでも妊婦と喘息については書いてありませんし、赤ちゃんにどんな影響があるのかすごくすごく不安です。このまま出産まで薬を使って大丈夫でしょうか? それともこの子を産むべきではないのですか?
気管支喘息は軽度のものも含めると人口の約1%にみられる疾患で、気管や気管支が種々の刺激に対して過敏に反応して、喉から肺の奥までの気道の広い範囲に狭窄が起こり粘液の分泌とあいまって、発作性に呼吸困難、喘鳴(ぜいめい)などが起きるものです。この気管支喘息はごく軽度のものから、非常に重篤で突然死にいたるものまで程度は広範囲にわたります。
妊娠が気管支喘息に与える影響はさまざまで、妊娠中に気管支喘息症状が軽快するもの、悪化するもの、不変なものなど一定の傾向はみられません。
気管支喘息が妊娠に与える影響については、大雑把に言って軽度の気管支喘息の方は妊娠や分娩に大きな問題は起こりません。気管支喘息発作はそのまえぶれを感じる方が多く、発作が起こりそうになればあらかじめ気管支拡張剤やステロイドホルモン剤を服用、あるいは吸入することによって発作を押さえることが出来ます。それらの気管支拡張剤やステロイドホルモン剤は妊婦、胎児に対して悪影響はありません。気管支喘息発作による低酸素環境は胎児に対してはもちろん良いことではありませんので、早めの適切な発作予防をおこなって気管支喘息発作を予防することが妊娠、胎児に対しても強く望まれること言えます。また、気管支喘息発作が起これば、直ちに医療機関を受診し適切な加療を受ける必要があります。
しかし、中等度から重篤な気管支喘息の方の中には、長期間にわたって発作を繰り返しているために心臓や肺の機能が低下しているケースもあり得ますので、理想的には妊娠される前に心臓や肺の検査を行い、妊娠してもよいかどうかの判定を受けて、「妊娠してもよい」という許可を得てから妊娠されることが望まれます。しかし、現実にはそのような許可を得ることなく妊娠され、後になっておたずねのようにご心配されることが多いものです。中等度から重篤な気管支喘息の方の妊娠は、呼吸器内科医と産科医の両者で綿密な連携をとって厳重な管理下での妊娠の継続や分娩に望む必要があります。極端な重篤例では妊娠の継続が母体にとって極めて危険と判断され、妊娠中絶を考慮しなければならないこともあり得ますが、そのようなケースはごくまれといえます。