はじめまして。私はもうすぐ結婚予定なのですが、結婚後はすぐにでも子供を欲しいと思っています。しかし、電磁波による胎児への影響が心配です。毎日3時間くらいはPCと向き合っているので・・・電磁波は本当に胎児に影響するのですか?教えて下さい。お願いします。
「電磁波」というものはなんでしょうか?言葉の響きからは危険なものと考える方もおられると思います。物理学的には電圧の周期的変化によって電界が空間を伝播し、電流の周期的変化によって磁界が空間を伝播します。その電界と磁界はお互いに直交しています。この電界、磁界の波を電磁波と言います。この電磁波はわれわれの生活に密着しており、電磁波のおかげで生活の利便性は大きく向上しています。例えば携帯電話、テレビラジオ放送、電子レンジなどはその典型と言えます。また、電磁波自体を利用してはいませんが、パソコン、CRT、インバータエアコン、インバータ蛍光灯、電気掃除機、冷蔵庫なども機構上副次的に電磁波を出しています。
電磁波が生体に与える影響として、最も考えやすいものとして電子レンジがあります。電磁波は高周波、高出力になるほど生体に対して熱効果があります。この電子レンジは高周波で500W以上の出力があります。極端な話をすれば電子レンジより放出される高周波(電磁波)エネルギーを人体に向かって放射すれば、当然細胞は熱を持ち機能障害を引き起こします。ところが商品としての電子レンジは金属によってシールド(遮蔽)されており、電子レンジ調理室内の食材に対しては高周波が作用し熱効果が発生しますが、電子レンジ調理室外には高周波を出さないようにできるだけシャットするように設計されています。また、電磁波の生体に与える影響は二次的な熱効果だけではなく、電磁波そのものによる影響もあり得る可能性があります。
われわれが生活する空間には前述のようにさまざまな電磁波があります。しかし、常識的にわかるように短時間で人体に悪影響が出るような強力な電磁波に暴露されることはありません。おそらくご心配されているのは微弱な電磁波が長期間にわたって作用した場合にどのような影響があるかということだと思います。1997年より始まった総務省の「生体電磁環境研究推進委員会」での検討や、WHOの国際共同研究や電磁波の発がん性の研究などがありますが、その研究はまだ始まったばかりで、十分な結論が得られるのはかなり先の時代になると思います。したがって現時点では、妊娠期間中に暴露された微弱な電磁波による胎児への影響も不明ということになります。もちろん電磁波の暴露はないにこしたことはありませんが、家庭内にある多くの電気製品はわずかながらではありますが、電磁波を出しているのは事実です。確かにパソコンやCRTディスプレイからも微弱な電磁波は放射されているわけですが、おたずねのようにパソコンだけをことさらご心配されるのは偏見があるとも言えます。しかし、電磁波の生体へ対する影響は学問的に十分に検討される必要があり、電気製品の電磁波漏洩や携帯電話から出る電磁波に対する安全基準は厳格に決定されることが望まれます。