クラミジアに感染した場合潜伏期間をおかず、すぐ症状がでるでしょうか?主人からクラミジアに感染していたと言われ(風俗で感染したとの事)、私も不安になり婦人科を受診し検査しました。一週間後、結果は陰性、でも擬陽性かもということで10日分薬を処方され、飲み終わりました。
クラミジア感染症は若い女性の性感染症の中で最も多いものです。日本全国で100万人以上の感染者がいると推定され、特に10代、20代の女性では産婦人科受診患者の10~30%程度の率で感染していると報告されており、「もはや産婦人科を訪れる30才以下の女性すべて検査する必要があるほどの危機的状況」ともいわれています。男性のクラミジア感染症は尿道炎の症状が出るために加療されることが多いのに比べ、女性は無自覚のことが多いため放置されやすく、男女比でも女性は男性の2倍強の罹患率となっています。
このクラミジア感染症は性行為によってクラミジアトラコマーティスという病原体が侵入することによって引き起こされます。感染が起こった後は、1~3週間でクラミジア性子宮頚管炎(子宮の入り口の炎症)が発症します。子宮頚管炎の症状はおりものが増えることもあるますが、半数以上が全く無症状であるために病気になっているという自覚を持たないといわれています。
炎症が子宮頚管からさらに奥に広がると子宮内膜炎、さらには卵管や卵巣の炎症を引き起こし下腹部痛や性交痛の原因となります。さらには骨盤腹膜炎、肝周囲炎まで進展し、腹部の激痛となり、救急外来へ搬送されるケースもあります。
さらにオーラルセックスによる咽頭感染もおこります。女性性器にクラミジアが検出される場合は、無症状であっても10~20%は咽頭からもクラミジアが検出されると報告されています。
卵管の炎症を起こすと後遺症として、受精卵の通過障害や輸送障害、卵管内腔の狭小化、卵管の癒着などによって不妊症、子宮外妊娠の原因となります。また、妊婦の方ではクラミジアによる絨毛膜羊膜炎の発症から子宮収縮がおこり、流早産の原因にもなることがあります。さらに分娩時に産道から垂直感染が起こり、新生児結膜炎、新生児肺炎の発症も起こります。
診断は一般的には子宮頚管内を擦過して調べるクラミジア病原検査が行われます。また、採血によるクラミジア抗体検査が行われることもあります。検査は簡単で痛みもなく、きわめて短時間ですみます。
治療はアジスロマイシンを1回服用するか、クラリスロマイシンなどを7日間をちゃんと服用することができれば、ほぼ100%治癒します。もちろんパートナーの男性との同時検査、同時治療が必要です。しかし、確実な服用が行われなかったことによる治癒不完全の可能性も少なくないので、理想的には治療後2週間目のクラミジア病原検査を行い治癒していることの確認することが望まれます。