妊娠時期の表し方と分娩予定日について
妊娠の数え方はなかなか難しいものです。計算の基準となるものは現在よく用いられているものとしては3つの方法があります。
(1)妊娠する前の最後にあった月経の開始日から起算する。
(2)不妊症治療後妊娠された方では、超音波断層法や基礎体温での排卵日、不妊治療による受精確認の日付などから起算する方法。
(3)超音波断層法にて妊娠3ヶ月ころに頭臀長(頭から臀部までの長さ、座高に近い)を測定し、それを基準として現在の妊娠週数を推定し起算する方法。
以上のような方法によって、現在の妊娠週数を計算し、分娩予定日を算出します。
最終月経から計算する方法をご説明しますと、妊娠が分かった時点では月経はないわけですが、妊娠の数え方は最後にあった月経の始まった日(もちろんこの日は妊娠しているわけではありませんが、正確にわかることが必要です)から計算することになっています。その最後にあった月経の始まった日を「0週0日、1ヶ月」として7日おきに週数が1づつ増え、4週おきに月数が1づつ増えます。最終的には分娩予定日が最終月経開始日から280日後の、「40週0日、10ヶ月」となります。したがって「月経が遅れているので妊娠かな?」と思った時点ではもはや妊娠2ヶ月となっているわけで、妊娠1ヶ月という時期は妊娠の自覚がない時点と言えます。
例をあげれば「ハネムーンベビー」だった場合は、結婚式から実質2週間余りしか経過していない時点で産婦人科を受診され「おめでとうございます。妊娠2ヶ月です」と言われて「妊娠2ヶ月ってどういうこと ???」となるわけですが、別におかしくはなく当然と言えます。
ただ、この最終月経から起算する方法では、最終月経が始まった日から14日目に排卵していることが前提となります。したがって、月経周期が28日型の方ではピッタリということになりますが、月経周期が不順な方では大きなズレがおこります。そこで、前記の(2)や(3)の方法で修正することが必要になります。
産婦人科の医療機関では患者さんそれぞれに応じて、最も適切であると思われる計算方法で現在の妊娠週数や分娩予定日を計算しています。妊娠の計算では「週」と「日」は「満」で数え、「月」は「満+1」の「数え」となりますので、カレンダーの日付感覚と妊娠週数の感覚が若干異なります。もし、疑問な点があれば遠慮なく医師に質問し、充分納得されるべきでしょう。
以上の妊娠週数、分娩予定日について(3)の超音波断層法による頭臀長から起算した場合には医療機関それぞれの計算方法によって全く同一とはならず、若干の誤差があります。
また、妊娠中期以後になってから初めて来院された場合は、最後にあった月経の開始日がわからないことが多く、基礎体温のデータもなく、単に現在の胎児の大きさだけから現在の週数や分娩予定日を算出することになりますが、妊娠中期以後では個人差が大きくなるため誤差が大きくなりますので適当ではありません。したがって正確な妊娠週数、分娩予定日の算出という意味でも妊娠初期からの産婦人科受診が望まれます。また、すべての女性は御自身のために月経の日付を正確に記録に残しておくことが必要と言えます。
なお、「流産」とは妊娠6ヶ月22週未満の妊娠の中絶をいい、「早産」とは妊娠6ヶ月22週以降から妊娠10ヶ月37週未満の分娩をいいます。したがって「正期産」とは妊娠10ヶ月37週以後となりますが、妊娠42週以後は「正期産」ではなく「過期産」といいます。