月経および月経に関連することがらに関する定義集
月経に関して正常なのか異常なのかを判断するための資料として、日本産科婦人科学会では用語の統一や正常範囲について定義を定めています。以下に主だったものをあげてみます。
1 月経
月経:約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止る子宮内膜からの周期的出血。
2 初経と思春期
初経:初めて発来した月経。平均12~13才で、おそくとも16才までに見られるが、世界的に早発傾向が見られる。
思春期:性機能の発現、すなわち乳房発育、陰毛発生などの第2次性徴の出現に始まり、初経を経て第2次性徴が完成し、月経周期がほぼ順調になるまでの期間をいう。その期間はわが国の現状では8~9才頃から17~18才頃までになる。
早発月経:10才未満の初経発来をいう。
遅発月経:15才以上で初経の発来したものをいう。
早発思春期:早発月経があるか、乳房発育が7才未満または陰毛発生が9才未満で開始したものをいう。
遅発思春期:適正な年令を過ぎても乳房発育、陰毛発生および初経発来のそれぞれを見ないものをいう。その年令は乳房発育11才、陰毛発生13才、初経発来14才である。
3 更年期と閉経
更年期:生殖期(性成熟期)と非生殖期(老年期)のあいだの移行期をいい、卵巣機能が衰退し始め消失する時期に当る。
閉経:卵巣機能の衰退または消失によって起こる月経の永久的な閉止をいう。
自然閉経:卵巣機能の消失に伴い自然に起こった閉経。更年期婦人において、明らかな原因がなく、月経が1年以上無い時、閉経と判断して良い。
人為的閉経(医原的閉経):人為的に卵巣機能が廃絶されてたことによる閉経。子宮のみ摘出し卵巣が残っている場合は、臨床的に卵巣摘出による症状が出ないし、女性ホルモンのレベルも高いので、これには含めない。
早発閉経:43才未満で閉経が起きたもの。
遅発閉経:55才以後に閉経が起きたもの。
4 月経周期
月経周期日数:月経開始より起算して、次回の月経開始日までの日数をいう。正常範囲は周期日数が25~38日の間にあり、その変動が6日以内である。
頻発月経:月経周期が短縮し、24日以内で発来した月経をいう。
希発月経:月経周期が延長し、39日以上で発来した月経をいう。
不整周期:上記の正常周期にあてはまらない月経をいう。
5 月経持続日数および量:月経持続日数の正常範囲は3~7日である。
過短月経:出血日数が2日以内のものをいう。
過長月経:出血日数が8日以上続くものをいう。
過多月経:月経血量が異常に多いものをいう。
過少月経:月経血量が異常に少ないものをいう。
6 無月経:月経がない状態をいう。
生理的無月経:初経以前、閉経以後ならびに妊娠、産褥、授乳期における無月経をいう。
病的無月経:性成熟期における月経の異常な停止をいう。
原発(性)無月経:満18才になっても初経が起こらないものをいう。
続発(性)無月経:これまであった月経が3ヶ月以上停止したものをいう。ただし、生理的無月経の場合はこの期間にとらわれない。
7 月経随伴症状
月経困難症:月経期間中に、月経に随伴して起こる病的症状。
月経前症候群:月経開始前、3~10日位前から始まる精神的、身体的症状で月経と共に減退ないし消失するもの。
月経前緊張症:月経前症候群の同義語として取扱う。