産婦人科受診の手引き-スムースな診療を行うために-
産婦人科での診察前の数分間の問診で、多くの情報伝達を行うわけですが、もれなく正確に医師に伝えるにはあらかじめきちんと頭の中で整理しておく必要があり、できればメモにまとめておけばベストと言えます。
(1)まず、産婦人科を受診する目的をはっきりとさせることが必要です。これは医療機関側では「主訴」と言います。例えば「月経が遅れている」、「下腹部が痛む」、「外陰部にかゆみがある」、「おりものがおかしい」、「不正出血があった」、「パートナーが性病にかかった」、「ピルやIUDによる避妊を希望」などです。このことをわかりやすく、はっきりと伝えることが重要です。
診察時にこの「主訴」をはっきりと伝えることが不十分で、あれやこれやたくさん話されるけれども結局「一番ご心配なことは何なのか」ということがわからないといったケースはよくあります。この「主訴」は診療を行う際に最も重要な事柄で、できれば1つにしぼっていただければよいのですが、複数の場合でも簡潔に要領よく短時間に医師に伝えることが大切です。この「主訴」を要領よく伝えることが出来なかった場合には、診療自体が全くかみ合わないことになります。
(2)次に主訴に関連したいろいろな情報(これを現病歴と言います)をきちんと整理して、できればメモしておく必要があります。例えば最近3ヶ月分の月経開始日と持続期間(基礎体温を測定している場合は書き込んだ基礎体温表を持参)、月経量が異常であればその状況、不正出血があればその状況や日付、また痛みがある場合はその部位、痛みの状況、痛みがあった日を正確に言えるようにしましょう。
また、パートナーが病気であった場合は、その病名が何なのかをきちんと聞いておきましょう。
最近数年間の医療機関での診療内容、特に今まで別の産婦人科医療機関で診察、加療を受けていた場合は、その診断名、治療法を簡潔にもれなく話す必要があります。薬剤の投与を受けている場合はその薬名、薬名がわからなければその薬剤そのものを持参されればよいでしょう。
さらに、生後今までかかったことのある主な病気や受けた手術名(これを既往歴といいます)や、血のつながりのある方に大きな病気があるかどうか(これを家族歴と言います)も再確認しておきましょう。さらに以前に合わなかった薬剤(薬疹、ショックなど)があればその薬剤名、アレルギー疾患の有無も重要な事柄です。
(3)産婦人科ではさらに他科と異なり、初潮がいつあったか、妊娠したことがあるかどうか、分娩したことがあれば、いつ、何グラムの、男女を、どのような分娩方法で(経膣分娩、帝王切開)、陣痛は(自然、人工誘発)、産褥経過は、授乳は(母乳、人工、混合)、児は正常かどうか、また閉経している方ではいつ閉経したか、などといったことも通常お聞きしています。